"自分の器"から溢れない範囲で
以前、心を病んで休職経験のある人から印象的な話を聞いた。
その話は休職経験者だけではなく、働くすべての人に当てはまる普遍的な話だと感じたので、今日はそれについて書いてみたい。
休職経験者からもらった言葉(引用)
バイアスがかからないように、その人にもらった言葉を記憶の限りそのまま引用する。
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「私は休職した経験から、今は絶対に自分の器以上のエネルギーを使わないことにしてるんです。
自分の器以上のエネルギーを使うと、その無理は必ず大きなひずみとなって自分に跳ね返ってきて、結局家族や会社に一番迷惑をかけることになる。
私の場合、一番エネルギーを使うのは人との関わり。
人と関わる量や時間のボリュームはが大きすぎると疲れてしまう。だから仕事が終わったらまっすぐ家に帰るし、仕事の飲み会や付き合いは一切断っています。
あと、家に仕事を持ち帰ることもなくなったね。
持ち帰ってまで仕事をすると、自分の器以上のエネルギーを使ってしまう。休みの日に仕事のことを考えたり仕事に手をつけたりすることはやめて、今は100%目の前の余暇に集中しています。
人付き合いも休日の仕事も、やめると決める前は怖かったよ。
人が離れていくんじゃないかとか、仕事がうまく回らなくなるんじゃないかとか。
でも、実際そんなことは起こらない。仕事も人間関係もちゃんと回っているし、むしろ、"あの人は休日の仕事や人付き合いをしないと決めている"と周りが認識してくれて、その範囲内でしかお願い事をしないでいてくれるんだよね。やる気がないとかではなく、休職経験からそういう判断をしているんだというのもわかってくれている。だから、休職前のがむしゃらに働いていたときよりもだいぶ心身ともに楽なんだよ。」
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どの部分が一番印象に残っただろう?
この話から、何を感じただろうか?
まずは"自分の器"を知る
僕が一番印象的だったのは、"自分の器"という概念だ。
人にはそれぞれエネルギー保有量のようなものがあって、100%調子が良い状態でも、その絶対量は人によって違うような気がする。
一日20時間活動して平気な人もいれば、10時間で疲れてしまう人もいる。
また、「何をすることでより大きなエネルギーを消費するのか」も人によって違う。
人との関わりで疲れやすい人もいれば、座っているのが苦手でデスクワークで疲労困憊する人もいる。
自分自身について、この
・エネルギーの量
・エネルギーを消費しやすい活動
の二つを把握しておくことは、限界を超えて疲れてしまわないためにとても重要なんじゃないだろうか。
僕の経験上、限度を超えた疲労は積み重なると体そのもののシステムダウンにつながるし、そうなれば心へのダメージも半端ではない。
エネルギー量が多いから良いとか、消費しにくいのが素晴らしいとかいう話ではなくて、どんなエネルギー量、どんなエネルギー消費パターンを持っていたとしても、それを自分の個性として知ってその範囲内で活動することが大事なんじゃないかと思う。
(と言いつつ、本音ではエネルギー量のある人がうらやましいけど。。)
"自分の器"を把握した後にやること
「これくらい活動すると疲れすぎてなかなか回復できないなあ」とか、
「休みたいけど休めないような気持ちになってるってこと自体、自分の器以上のエネルギーを使おうとしてるんじゃないか」とか、
まずは、自己対話を深めながら"自分の器"を知っていく。
その後にやることは、「やるべきことの優先順位付け」。
仕事でもプライベートでも、絶対に外してはいけないことと、外しても大事に至らないことを見分けていく。
いくつもの「やらなきゃいけないと思っていることリスト」の中で、
「AとBだったらAが優先、BとCだったらBが優先、だからA,B,Cの順に優先順位が高いな」
などと優先順位をつけて、高いものから順に、自分の器の範囲内のエネルギーで処理していく。
僕自身、この方法を取り入れてかなり生活が改善した。
Beforeの状態は、毎週末は平日の疲れで家を一歩も出られなかったが、Afterでは土曜日の午前中いっぱい眠れば午後は出かけられるくらいになった。笑
僕の場合、エネルギーの絶対量が同僚や上司より少ないことや人一倍エネルギー消費が早いことがわかったのがスタート地点だった。
中でも最もエネルギーを使うのは気を使う人付き合いだということ、エネルギーを週の前半で使い切ってしまい後半はガス欠になることもわかった。
それから、
・週の前半は夜に人と会う予定を入れないこと
・1週間の夜の予定を制限すること
・土日のどちらかは一人で過ごす時間を確保すること
などを実践したことで限度を超えた疲労が溜まることが少なくなった。
今日書いたのは概念的な考え方だけで、具体的なやり方は人それぞれ適した方法があると思うけど、何かの参考になればうれしいです。