ココロを自由にするブログ ~自信を育て、しなやかな自分を創る~

不安に振り回されず、自由に生きる。3度の休職を乗り越えた筆者が考える、心の自由を手に入れ、幸せな人生を歩むための、考え方と行動のヒント集。

経験者が語る、カウンセリング(心理療法)の効用と限界

何度かご紹介しているように、私は心の問題で2度の休職を経験しています。

休職するまで心と身体を痛めてしまった原因は、このような私の性格にありました。
・完璧主義。完璧でない自分が許せない。
・仕事を家に持ち帰り、四六時中心が仕事が頭を離れない。
・誰に対しても過度に「良い子」をしてしまう。思ったことが言えない。
・誰にも弱みを見せられない。
・人に頼み事をすることに罪悪感がある。etc...

こうした性格(≒心の癖)が仕事の抱え込みすぎ、働きすぎを招き、無理を重ねる中で体調が悪化して休職に至ったのです。
原因は明らかに私の性格にありましたが、自助努力ではどうにもならず、集団討議の認知行動療法でも結果が出ず、最終的にカウンセリング(心理療法)による治療を行うことになりました。

今日は、何か辛い現実に直面して本格的にカウンセリングを受けようと思っている方に向けて、週一回、8ヶ月に渡るカウンセリングを受けた経験から「私が思う、カウンセリング(心理療法)効用と限界」をご紹介したいと思います。

 

効用:心の癖(精神的縛り)から解放される

そもそも、カウンセリングとは「自分を生きにくくしている“心の癖”を、カウンセラーの支援を受けながら取り除くための治療法」です。

カウンセラーは相談者の鏡となり、相談者はカウンセラーの質問に従って自身の体験を話していくことで自発的な気づきを得ていきます。

心の癖は恐怖を感じた体験から作られることがほとんどです。
カウンセリングでは、この心の癖を生んだ原体験を相談者自身が掘り当て、思い出して、恐怖を感じなくなるまで消化していきます。(これを「暴露療法」といいます)

カウンセリングは、うまくいけば自分自身を縛り付けている心の癖を取り除くことができます。

その状態になると、根源的な恐怖心は薄れ、これまで持っていた心の癖は解消して、「心の癖で苦しんでいた過去の自分の気持ち」に共感することすら難しくなります。

恐怖の原体験を思い出すことは心理的に非常に辛く、場合によっては身体症状も伴う大変な作業ですが、乗り越えた先には二度と同じ思いをしなくてよい「恒常的に安心感に包まれる状態」が訪れます。


限界:カウンセリングには、人によって向き・不向きがある

一方で、カウンセリングには受けると症状が改善する人、受けると逆に症状が重くなる人、の2タイプが存在します。

両者を分ける要因は、「苦しみの原因となっている恐怖体験が本人にもたらした恐怖の度合いの強さ」です。(※あくまで「本人にとっての」恐怖の度合いであり、周囲から見た恐怖体験の壮絶さでないことに注意!)

端的に言えば、過去の出来事で受けた恐怖があまりに大きい場合は、カウンセリングはおすすめできません。

先ほど書いたように、カウンセリングの基本的なメカニズムは、「苦しみの原因となっている過去の恐怖体験を掘り当て、繰り返し思い出すことによって恐怖に慣れる」ということです。

「当時と今で状況は変わっていることを感じながら繰り返し思い出すうちに、恐怖体験は恐怖ではなくなる。」
「すると、これまでのように恐怖体験と現実の出来事を結びつけることがあっても、原因となる恐怖体験から恐怖を感じなくなっているので、現実の出来事にも恐怖を感じなくなる」
という考え方です。

確かに、論理的にはこの方法で恐怖体験の消化が進みそうに感じます。
ただ、あくまで「論理的には」なのです。

過去の出来事で受けた恐怖が特に大きい人は、無意識のうちにそれを忘れようとしています。
とはいえ完全に忘れることはできませんし、心の底には恐怖が残っています。

忘れようと無意識下に追いやっていた体験(親に激烈に怒られた等)を意識下に引きずり出すことで、人によっては生命の危機を感じるほどの恐怖を再体験します。
「思い出す」という行為は、脳科学的には「もう一度同じ体験をする」ということと同じです。

生命を維持することすら危うかったからこそ恐怖を無意識下に押し込めたのだから、カウンセリングで同じ恐怖体験を思い出すことはもう一度「生命の危機」を感じることに他なりません。
人によっては動機、息切れ、過呼吸、発熱、嘔吐などの身体症状が起きることもあります。

一番怖いのは、ここまで来るともう恐怖の原体験を無意識下に追いやることができなくなることです。
日常的に頭の中にその原体験がこびりつき、現実のあらゆる出来事をそれと結びつけて、恐怖から身を守るためにさらに強い心の癖を生んでしまうだけです。

また、ここで耐えられなくなってカウンセリングをやめると、単に恐怖体験の上塗りをしただけのことになってしまいます。
心理的囚われから自由になるためにカウンセリングを受けたのに、まったく逆の結果を招く可能性があるわけです。


解決策重視型アプローチの勧め

だからこそ、私はまったく別のアプローチも紹介したいと思います。

そもそも、カウンセリングはあくまで現実の世界で心を病むことなく健康に生活できるようになるための手段の一つでしかありません。

「根本的な原因を見つけ、根っこからそれを取り除く」という考え方は問題解決の王道でしょうが、心の問題に関しては王道の方法が是とは言い切れません。

健康な心で生活するためには、必ずしも原因究明は必要ないのではないか。
その代わり、健康な心で生活できるようになるためのHow to(=解決策)をたくさん試せば良いと思うのです。

例えば、「ありのままの自分を受け入れてくれる人と時間を過ごす」というのも立派な方法があります。
一緒にいて不安感を感じない、心から安心・信頼できる人が一人いるだけで、「私は無理しなくても、ありのままでも愛されるんだ、受け入れられるんだ」と感じられるようになります。
その体験が繰り返されるにつれて、その信頼できる人以外の人と一緒にいても以前ほど心の癖が発動しにくくなるのです。

また、「無意識に唱えているセルフトーク(内面で起こる独り言)の内容を紙に書き出し、それとまったく逆の独り言を機械的に唱える訓練をする」という方法も効果的です。
心の癖は、実際に口から発する言葉ではなくその1つ前の段階、つまり内面で起こる独り言によく現れます。
その内容を自覚するとともに、それが否定的なものである場合は肯定的なものに機械的に(まずは納得できなくてもいいので)唱えると、自然とネガティブな思い込みが和らいでくるのです。

こうした方法ではまったく心の癖が生まれた原因を究明しませんが、こうしたHow toを繰り返すと、「ありのままの自分でいてもいいんだ。ちゃんと愛されるんだ。」という安心感を徐々に感じられるようになります。
自分自身の中のプログラム(≒心の癖)を訓練(≒How toの繰り返し)によって書き換えるイメージです。
そうなれば、もともと不安感から起こしていた行動や心の癖は発動しづらくなり、確実に心は回復していきます。

 
まとめ

私自身、カウンセリングを受け、ずっと無意識下に追いやってきた家族関係の問題が明るみに出たことで、一時期に発熱、全身倦怠感、食欲不振などの身体症状が重くなりました。
特に、原体験を掘り当ててしまった直後はこれまで毎日のように連絡を取っていた家族と関わることすら嫌になりました。関わろうとすると身体症状が出るのです。

ただ、当時の私にはカウンセリングを続けるしかほか選択肢がありませんでした。
カウンセリングを受ける前に「解決策重視型アプローチ」を知らなかったから、カウンセリングを受けるほかなかったのです。
一度受けたからには、最後まで向き合う覚悟をしないと逆効果だとも感じていたので、維持で最後まで駆け抜けました

ですが「原因究明型」と「解決策重視型」、両方の手段を知っている今なら言えます。

カウンセリングで原因究明でさらに辛い思いをし、症状を重くするリスクを負うくらいなら、無理をする必要ありません。
原因に向き合うことから逃げ続けたっていいのです。
最終的に本人の心が楽になればいいんですから、「カウンセリング」という1つの手段を避けたという事実だけを切り取って本人を責める権利は誰にもないのです。

そして、カウンセリングを受け始める前に、ぜひ「解決策重視型アプローチ」の方法を探してみてほしいのです。
具体的な方法や書籍等の情報源は「ネガティブ感情と向き合う」のカテゴリでも随時紹介していきますが、私の知らない、専門家だからこそ知っている方法が世の中にはたくさんあるはずです。

私と同じようにカウンセリングしか方法が残されておらず、実際に飛び込んだ結果、症状の長期化・悪化に直面している方はきっとたくさんいると思います。

私自身がその世界を垣間見た一人だからこそ、同じように辛い思いをする人が一人でも減るよう心から祈っています。

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