ココロを自由にするブログ ~自信を育て、しなやかな自分を創る~

不安に振り回されず、自由に生きる。3度の休職を乗り越えた筆者が考える、心の自由を手に入れ、幸せな人生を歩むための、考え方と行動のヒント集。

失敗を許さない日本の転職システム

新しい職場に来て3週間が経ちましたが、今のところ順調に来ています。

短期の仕事で繋いでいた時期を考えると、しばらく同じ場所で、同じ仕事に就いていられる安心感というのは本当に有り難いです。

さて、前回の記事の最後でこんなことを書きました。

また、今回の転職活動は、これまでで一番社会のリアルを肌で感じた経験でした。
「転職」というテーマで見た社会のシステム、そのシステムの中で生き抜く術、色々なものを感じ、色々なことを考えました。
それを切り出して一つ記事を書くつもりですので、そちらは近々また。

今日は、5月末から7月初旬にかけての転職活動で感じた、転職市場のリアルについて書きたいと思います。

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最大の衝撃:転職エージェントに面談を断られる

転職活動の初めに、転職エージェントに面談を申し込みました。
過去の利用経験から、「転職サイトで求人を探すよりプロに紹介してもらったほうが仕事選びの精度が高く、転職活動も早く進む」と考えたからです。

ですが、大手の3社に会員登録を済ませ面談を申し込んだところ、2,3日音沙汰なし。
1回目の転職では、登録後5分も経たずにキャリアアドバイザーから電話があり、来社面談を勧められたのに、です。

結局、2,3日後にこんなメールが届きました。 

ご登録いただきましたご経験をもとに(ご希望条件も含め)
弊社求人を確認させていただきましたが、
あいにく現在弊社にてマッチする求人がなく
すぐにご紹介が難しい状況です。

こうして3社とも体よく面談を断られました。
判を押したように同じ内容のメールが送られてきたことも驚きでした。

面談を断られた理由は、一つしか思い当たりませんでした。

それは、会員登録の際に直近の職歴(=雇用形態、年収、職種)しか入力欄がなかったことです。
契約社員、年収250万円、コールセンターのオペレーター」という時点で、「人材としての市場価値が低い」「面談する価値なし」とみなされたのだと思います。

転職エージェントは、市場価値の高い人材から優先的に面談をセッティングしていきます。
面談の方法も、市場価値の高い順に対面カウンセリング→電話カウンセリング、と序列が付けられています。

なぜなら、市場価値の高い人材ほど転職先での年収が高く、エージェントの懐に多く成功報酬が入る(←転職が成功すると転職先の年収の3~4割のフィーが転職先企業から支払われる)からです。

そう考えると、「効率よく利益を上げるための面談の優先順位付けを目的として、直近の職歴だけヒアリングしているのではないか?」という気がしてなりません。

これは、最近の転職エージェントならではの特徴だと思います。

会員登録の際、入力項目を少なくして登録のハードルを下げることで、登録会員数は増やすことができるでしょう。効率よく転職を斡旋し、利益を最大化できるのかもしれません。

でも、その一方で私のように直近の職歴が非正規雇用というだけで面談すらセッティングしてもらえない求職者が出ます。

効率よく利益をあげようとする論理は理解はできますが、その代償となるのは「一度正規雇用のレールから外れた求職者」です。
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一度ピラミッドの下に落ちると、上がるのは難しい

こうして、人材としての市場価値は、雇用形態×年収×職種+所属企業のブランドで簡易的に判断されます。

簡易的にスクリーニングされた後は、実際の実務能力、保有資格、人格なども関わってくるでしょうが、入り口はとにかく「雇用形態×年収×職種+所属企業のブランド」なんです。

入り口で一定の要件を満たさない限り、実際の実務能力や人柄など、その先は見てもらえません。

特に雇用形態でいうと、明確にこの図のようなピラミッド構造があります。
正社員でない時点で、転職市場での市場価値は著しく落ちます。

このピラミッド、上から下に降りることは簡単ですが、下から上に這い上がるのは非常に難しいことを、身をもって痛感しました。

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そして、こうしたピラミッド的な考え方は、大学受験、新卒採用にも共通しています。 

大学受験で言えば、「偏差値が高い=良い」「有名大学に入る=優秀」とされる。

大学受験の実績を上げる責任を持った高校教諭が、偏差値が低い生徒を「競争力なし」とみなして、偏差値の高い生徒の進路指導や教育に力を入れる。
ここでいう「入り口」は偏差値であり、受験する大学のブランドであって、本人の性格や資質、勉強以外の能力にスポットライトが当たることはありません。

新卒採用でも同じです。
有名大学の学生は、「優秀だ」「市場価値が高い」とみなされ、企業も争奪戦を繰り広げます。
中には大学名によってS、A、B、C…などとランク付けをし、「Sから◯人採用、Aから◯人採用する」などと人事に目標を課している企業もあります。
大学名によって会社説明会の予約枠数が異なる、というのは今や当たり前の話です。

企業の人事担当者にとって、「有名大学の生徒を◯人採用できました」というのが自身の評価につながる点も見逃せません。

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問題の本質は、評価システムの不在

大学受験でいう偏差値。
新卒採用でいう大学名。
転職活動でいう雇用形態、年収、職種、所属企業のブランド。
なぜ、こういう狭い観点で人をスクリーニングするのか。
「この要件を満たしていれば優秀であろう」という確率論は理解できなくありませんが、その中身があまりにお粗末です。

今日は転職エージェントの話を例に挙げていますが、これはあくまで一例に過ぎません。
詳しくは割愛しますが、書類選考や面接、面談してくれた数少ない転職エージェントとのやり取りでも、直近の職歴が非正規雇用であることがハンデとなり、苦労した場面が沢山ありました。

この仕組みの下では、偏差値、大学名、雇用形態、年収、職種、会社のブランド…嫌でもそういったものにすがって生きていかなければ誰しも不安になります。
(「ココロを自由にする」「精神的自由を手に入れる」とはかけ離れた考え方です)

つまるところ、こうした観点でしか人を評価できていない、、逆に言えば「どのような観点で人を評価すれば、目的に沿った人材を見極めることができるのか」がわかっていないという、人材評価観点の未熟さと、評価システムの不在が日本の就職・転職市場における問題の本質です。

この現状の中で、私たちはどう生き抜けばいいか。
ひとまず、非正規雇用から正社員になる、ピラミッドの下層から脱するという意味での処方箋は3つあります。

①人のつながり、コネクションを使って直接正社員としてヘッドハントされる
②現在の職場で高い成果を上げ、正社員に登用される
③正社員化前提の紹介予定派遣の仕事に就く

ピラミッド構造の上層の方が優れている、と言っているようで本当はこんなことを書きたくありませんが、大きなシステムの中で生きるしかない私たちにとって、生活基盤を整えるためには仕方ありません…

ただ、①~③で覚えておきたいのは、いずれの道も、自己研鑽を積み、自分の内側に武器となる知識、スキルを蓄えておく必要があることです。
特に①に関しては、人とのつながりも重要になってきます。

自己研鑽を積んだり人とのつながりを作ることは、「自分の身を守るため」だけでなく、「自分の人生を豊かにするため」にも重要なピースです。

そういった努力の価値は目には見えませんが、私たちにできることは、いつかその種が花として芽吹くことを信じて今できることを積み上げていくことなのだと思います。

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