元K-1世界王者、魔裟斗選手から学ぶ「仕事に向き合うメンタリティ」
久しぶりに、元K-1選手の魔裟斗さんの試合をYouTubeで観ました。
私は高校生のときに魔裟斗選手を知り、初めてテレビで試合を観て以来ずっと、テレビ中継される試合は欠かさず観るほど魔裟斗選手のファンでした。
「魔裟斗選手の何がここまで自分の心を惹きつけるのだろう?」
そう考えてみると、そこには万人に活かせる仕事の教訓があることに気付きました。
■「全力で仕事に向き合う姿勢」が、人の心を動かす
全盛期の魔裟斗選手の魅力は、なんといっても「圧倒的な強さ」と、「劣勢に立たされたときでも、決して守りに入らず相手に立ち向かっていく勇気」(もちろんルックスも)でした。
目の肥えた格闘技ファンを唸らせるほど、その試合は熱く、面白かったのです。
魔裟斗選手は2003年に、日本人初のK-1世界王者に登り詰めます。
しかし、それから4年もの間、壮絶なトレーニングを積みながらも魔裟斗選手はチャンピオンベルトから遠ざかってしまうのです。
そして2008年、5年ぶりのベルトを手にした魔裟斗選手は、これまでとは違う魅力で世界中の格闘技ファンに感動を与えます。
魔裟斗選手は、試合後のインタビューでこう語りました。
「本当にようやく、やっと…やっと獲ることができました。
15歳から格闘技を始めて、もう人生半分、もう約15年間格闘技をずっと続けてきて、本当に一つのことを一生懸命頑張ると本当にいいことがあるんだな、という風に今日本当に思います。
たぶん色々みんなも辛いことがあると思うけど、
途中であきらめずに最後までやり通すと、結果はどうあれ、すごい充実したいい気持ちになるし、
“継続は力なり”じゃないけど、ずっと続けることがこのベルトにつながったと思います。ありがとうございました。」
【試合動画】
K-1 WORLD MAX 08' 世界一決定戦 魔娑斗 vs アルトゥール・キシェンコ - YouTube
会場でこのインタビューを聞いていたファンの多くが、涙を流しました。
その涙は、何度倒れても立ち上がって相手に向かっていく心の強さと、これまでの魔裟斗選手の苦労や苦悩、血のにじむような努力を知っているからこその心からの祝福、そして
「全力で格闘技に向き合い、努力を続けてきた姿勢」と、「その努力の結果磨き抜かれた精神」に感銘を受けたからこそものだと思います。
(実際、悲願のベルトを取った後に「色々みんなも辛いことがあると思うけど」って観客を気遣えるのがすごい)
ここで思うのは、「仕事で圧倒的な結果を出す」だけでなく、そこに「全力で仕事に向き合って努力する姿勢」が加わるからこそ、結果として人の心は動くということです。
格闘技に限らず、仕事では苦痛を伴う場面が数多くあります。
立ちはだかる困難や苦痛を前に、逃げてしまいたくなるときもあります。
ですが、その中でも「苦痛に勝るほど強く実現したい志を持ち、その実現に邁進すること」ができれば、結果はどうあれ自分の精神は磨かれ、深い充実感を得、人の心を動かすことができるのだと思います。
■働く意味
京セラ創業者の稲森和夫さんは、著書『生き方』の中で働く意味についてこう述べています。
「労働には、欲望に打ち勝ち、心を磨き、人間性をつくっていくという効果がある」
「一つのことに打ち込んできた人、一生懸命に働きつづけてきた人というのは、その日々の精進を通じて、おのずと魂が磨かれていき、厚みある人格を形成していく」
魔裟斗選手はまさに、格闘技という労働を通して魂を磨き、それを観ていたファンは、その魂にもまた胸を打たれたのだと思います。
魔裟斗選手が「結果がどうあれ」と言うように、努力をしたからといって期待していた結果が出るとは限りません。
ですが、結果を出そうと努力する過程で磨かれた精神(=魂)、そしてそこから生まれる充実感は、必ず残るのです。
私は、その「努力の過程で磨かれた精神」こそが、全力で仕事に向き合うことで得られるもっとも尊い果実だと思います。
翻って自分を顧みてみると、「人の心を打つくらい、全力で仕事に向き合っているか?」と問われて、YESと即答できるでしょうか?
私はとてもできません。
自分なりに全力を尽くしてきたつもりですが、魔裟斗選手や稲森和夫さんに比べると、とてつもなく甘いと言わざるを得ません。
今の自分の現状は認めながらも、これからは魔裟斗選手にもらった感動を忘れずに、
全力で仕事に向き合っていきたいと思い直した一日でした。